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【銀魂】春夏秋冬【裏・短編集】

第23章 お使い【高杉晋助】




目隠しを取られ、手足の紐も切られて自由になった。



『眩し…』



光に慣れて見上げれば、目の前に男が立っていた。

片目を包帯で覆って、紫の着物を身につけていた。

煙管で煙草をふかすその姿が、妙に色っぽい。



『晋助様ーっ!終わったっスーっ!』



血の匂いで充満しているこの部屋に、一人の女が飛び込んできた。

後ろからはサングラスをしたツンツン頭の男と、昔ながらの侍の頭の茶色い着物の男が続いた。



『晋助。そこの女子はどうするでござるか。』

『さて、どうするかな。』

『育てるのなら私にお任せを。』

『黙ってくださいッス、武市先輩。このロリコン。』

『ロリコンじゃありません。フェミニストです。』



そばには死体が転がっているというのに、ひどく穏やかな会話だった。



『おい。』

『え?』



片目の、晋助と呼ばれる男が凛の方に向き直る。



『お前の父親はもういない。俺が殺した。』

『そう…ですか。』

『俺が憎いか。』

『いいえ…むしろ苦しみばかりのこの世界から切り離してあげられた。』

『そうか。ならばなぜそんなに惚けている。』

『…分からない……もう…何も……考えたくない…』



そう言って俯くと、女の苛立った声が降りかかった。



『晋助様。ほっとかないんスか?こんな腑抜けた女、ほっとけば勝手に死ぬっスよ。』


そう、もうほっといて…


『…おい。』

『……。』

『考えるのを止めたら、それはもう生ける屍だ。』

『じゃあもう…殺して…』


痛くてもいいから…もう楽になりたい。



だが、男は煙管を咥えたまま、凛の顎を掴んで顔を上げさせた。

男は微かに笑みを浮かべていて、凛には彼が何を考えているのか全く分からなかった。



『俺と来い。死にたきゃ勝手に死ね。』



告げられたその言葉が凛の人生を大きく変えた。
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