第23章 お使い【高杉晋助】
『待たせたな。商品は、そいつか。』
『…はい。』
『なかなかな上玉だな。よし、せめてもの情けで痛みなく殺してやるよ。』
『さ、先に金を…っ!』
『わぁーってる。外にある。さっさと受け取ってこい。』
そして父が部屋を出て行った音がした。
『私は…どうなるの…』
『あ?ちょっと強めの睡眠薬で寝てる間に内臓を取り出すんだよ。若い女の内臓は高く売れるんだ。』
『そう…』
『安心しろ。寝てる間にあの世に行ってるからよ、痛くはないさ。』
そして凛は抱え上げられた。
このまま…連れて行かれるのか。
凛が諦めに身を任せた、その瞬間。
『やっとボスのお出ましか。』
『だ、誰だ!外のガードマンは…』
『全員もう息絶えてる。お前で最後だ。』
『な、なにを…ぐあああぁぁぁ!』
男の断末魔と思われる叫びの直後、凛は重力に逆らう事なく落下し、床に体を打ち付けられた。
『ぐっ…』
『ジッとしてろ。』
凛を連れ去った男とは別の声。
誰だろうと思考を巡らせていると、唐突に目の前が開けた。