第23章 お使い【高杉晋助】
とても過酷な状況下で出会った。
凛は武家の娘「だった」。
日本を徳川定々が統治していた時代、多くの武家が切り捨てられた。
国に…定々に少しでも批判の気持ちがある者は、邪魔者として排除された。
国に捨てられた武家の末裔は悲惨なもので、凛の家族は路頭を迷った。
母は心を病み、早くに亡くなった。
父と二人で毎日を生き延びる日々。
苦しいものだった。
先に音を上げたのは……父。
『凛…ごめん…ごめんな……』
父はそう呻きながら凛の手足を縛り、目隠しをする。
ああ…前に言ってたっけ…
若い子の内臓は高く売れるって…
『苦しませないから…役に立てるから……』
ああそうか…私は……殺されるのか。
そう思った時、凛と父がいる部屋の襖が空く音がした。