第22章 デート【神威】
「さてと、さっさと済ませて戻ろっと。」
肩をコキッと鳴らし顔を傾けた時、ふいに側の柱に複数の気配を感じた。
「強い奴にしか興味無いとか言っててよ、上司の娘にはしっかり媚売るんだな。さっすが有望株な師団長様々。」
どうやら他の師団の者のようだ。
それは、幹部から有望視され、幹部の娘との繋がりをも持つ神威への妬みの声だった。
「(…雑魚だネ……彼女の事、何も知らないし感じてないのが下っ端らしいヨ。)」
凛は女でこそあるが、注視していると中々隙が無いことが分かる。
彼女はいつも「隙があるフリ」をしているのだ。
あと、言うまでもないが、神威がちゃんと認めるほど凛は…強い。
「(そういえば最近喧嘩してないナ。昔は遠征先で喧嘩になって星を潰しちゃった事もあったのに。)」
神威に対抗出来るだけでなく、小さな惑星を滅茶滅茶にする程の強さ。
それは、春雨のキャプテンやそれを目撃した第七師団の一部のみが知る事実だった。
「(弱い人達はほっといて…さっさと済ませなきゃ。遅かったら凛が面倒くさくなる。)」
神威はかったるそうに幹部室の戸を開けた。