第20章 入学式【沖田総悟】
二人は屋上にのぼり、大きな給水塔によりかかって校庭を見ながらパンをかじっていた。
「今日の入学式、校長先生の話が長くて眠たくなったね。」
「どうせ挨拶の緊張のあまり、昨日の夜寝られなかったんだろぃ。」
「むぅ…総悟だっていつも通り面倒で寝てたんでしょ!」
沖田は食べ終わったパンの包み袋をグシャリと潰した。
凛は少し顔を赤らめながらも小さいコンビニ袋を広げた。
沖田のゴミを入れるために。
「(何も言わずにこうやって気が利くんですよねぃ…)」
おくびにも出さないが、沖田はそういう所も好きだった。
「新入生挨拶、緊張したなぁ…やっぱ皆に見られてると思うとドキドキだよね。」
だが凛の台詞で、男子生徒達の色目を使った言葉を思い出す。
そしてニヤリと笑った。