第19章 誕生日【土方十四郎(5/5)】
熱い…
背中が…熱い…っ!!
『んぅ…っ!!』
あまりの激痛に目が覚めた。
目の前には真っ白な布。
『凛!大丈夫か!!俺が分かるか!?』
普通ならここは病室。
でも現実は違った。
『今から大江戸病院に運びます。どなたか付き添いを…』
凛はまだ救急車に乗せられたばかりだった。
『かなり危険な状態ですが…』
『……ひ…じか……さ…』
『凛っ!!』
今から病院に運ばれる。
だがもしかしたら助からないかもしれない。
そう思い、凛は残る僅かな力を振り絞って声をかけた。
か細く、消え入りそうな声でも、土方はちゃんと聞き取ってくれた。
そして凛に近寄り、手をギュッと握った。
『なんだ?俺はここにいるぞ。』
『土方さん…お慕いして…おりました…もし……死ん…でも……私を忘れ……ないで……』
『凛……』
だが無情にも、凛の意識はそこで途絶え、土方が返事の言葉を発する前に救急車は出発した。