第18章 入学式【坂田銀八】
「なあ…手、離して?」
凛は銀八の腕をガッシリ掴んでいた。
銀八の纏う艶めかしい空気にあてられた凛の中の僅かな理性が、その先の行為を良しとしなかった。
そのせいで、服を脱がそうにも銀八の手は自由が利かない。
「…だ、誰か…入ってきたらどうするんですか。」
忘れてはいけない。
ここは学校。
いつ誰がどこに現れるかも分からないのだ。
その想いだけが凛の支えになっていた。
「あ、俺、入る時ちゃんと鍵かけたから。」
そな言葉は凛の理性も完全に打ち砕いた。
無意識の内に掴んでいた手の力を緩めてしまった。
「ん、いい子。」
すかさず銀八は臨戦体勢を整える。
「(本来なら逃げなきゃいけないのに…坂田先生の動作一つ一つから目が離せなくて動けない………期待してるみたいじゃない……)」
暑いのか、白衣を脱ぎ、ズボンのチャックを開けて男の象徴を取り出す。
ポケットからゴムの袋を取りし、歯で破って開ける。
素早く器用に装着する。
その間、銀八の左手はずっと凛の手を握ったままだった。