第18章 入学式【坂田銀八】
チュッチュッと啄むようなキスを何回も落としていると、不意に冷たいものが唇に触れた。
これは……涙……?
「え…ええっ!?そんなに嫌だった!?」
銀八は慌てて凛と唇を離した。
いや、抱いてる後頭部とか腰とかはそのままなんだが。
「…遊びなら…止めてください。これから一年間、耐えられる気がしません。期待させる前に…止めてください。」
どうやら凛は銀八の行為を一時の戯れだと思っているようだ。
それも当たり前。
銀八の想いなど何も伝えていないのだから。
「期待って何だよ。」
「その内に、もしかしたら坂田先生は私の事…なんて絶対思うから…でもそれは違うっていつか分かるし…その時傷つくのが…恐い…」
「じゃあ何、相手がお前一人だったら遊びでもいいわけ?」
「そ、そう言う訳でも…」
凛は少し伏し目がちなまま、涙をポロポロと落とし、銀八の白衣に染みを作った。