第18章 入学式【坂田銀八】
「すいません…ありがとうございました。」
準備室の中で凛は銀八にコーヒーを差し出した。
「今はこれしか無いもので、良かったですか?」
「おう。でもまあ、一応俺はかなりの甘党だって事、覚えといてくれや。」
「そうなんですか!?分かりました。坂田先生のために甘いのも用意しておきます。」
だが凛はクスクスと笑っている。
「何が可笑しい?」
「いや、見かけによらず可愛い所があるんだな、と。」
「おま…男に『可愛い』はダメだろ。」
「あ、ごめんなさい。」
まだ凛の笑いは収まっていないが、笑顔が思った以上に可愛くて、コーヒーを飲むのにかこつけて視線を反らした。