第18章 入学式【坂田銀八】
体育館に着くと、ちょうど新任教師の紹介が行われていた。
「ちょいと銀八、遅いじゃないか。」
「悪かったって。」
着いて早々に銀八を小突いてきたのは理事長、お登勢。
銀八とは昔からの馴染みで上下関係をあまり感じさせない物言いだ。
「もう式自体は終わっちまったよ。」
「眠てぇ式に出なくて済んでラッキーだわ。」
「式より教頭の説教のが長いよ。ったく…。あ、ほら、あの先生だよ。あんたのクラスの副担任を務める先生。」
お登勢の指差す方を見れば、新任の女教師が一人、挨拶をするところだった。
「銀魂高校の生徒の皆さん、初めまして。一ノ瀬凛と申します。担当教科は生物で…」
侮っていた。
「ん?銀八?どうしたんだい、ボーッとして。」
「やべぇ…」
「は?」
お登勢の声も、凛の挨拶の声も全く耳に入ってこない。
「(超ドストライク!めっっっちゃタイプなんですけどおおおぉぉぉ!?)」
一目で完全に落ちた。