第17章 誕生日【山崎退(2/6)】
「馬鹿ですか!あなたは!!」
え、影扱いの上に馬鹿扱い?
「これは山崎さんに、ですよ!!もうっ!!」
「………え。」
頬をむくれさせながら渡されたその袋は大きなものだった。
「僕に?」
「そうですよ。」
「…開けてもいいかな?」
「もちろんです!」
中からは……
「ダウンジャケットです。まだまだ冷え込みますから。」
「暖かそう…でもなんで…」
「ハッピーバースデーですよ!!山崎さんっ!」
驚いて見ると、凛ちゃんは少し頬を染めながら僕にニッコリ笑いかけていた。
「誕…生日…」
「そうですよっ!」
自分でもすっかり忘れていた。
「いつも張り込みは大変そうだし、冬は特に寒そうだったのでこれにしたんです。」
今になって凛ちゃんの優しさがじんわり心に沁みてくる。
「これからもお仕事頑張ってくださいね!」
「あ、ありがとう…グスッ…」
今度は嬉しくて…涙出てきた。