第16章 取り調べ【桂小太郎】
「あの少女が…立派になったものだ。それを確かめに来たのか?」
「いいえ。お礼を言いたくて…」
辛い時もどんな時も、桂の言葉が支えとなっていた。
今の自分がいるのは桂のお陰だと言っても過言ではない。
その恩人の「共に戦おう」というお誘い。
すごく嬉しいが…でも自分なりに頑張って掴んだ道。
「あの時助けてくださって、本当にありがとうございました。一緒に戦おうと言ってくださったお誘いもすごく嬉しいです。でも…」
凛は桂をまっすぐ見る。
「警察を辞めるなんて出来ません。」
凛の返事に、桂は楽しそうにニヤリと笑った。
「では、そなたは敵だな。今日はこのまま捕まえるつもりなのか?」
凛はドキリとした。
桂の「敵」という言葉が思ったより心に刺さった。
「いえ、今日は一人の人間として命の恩人に会いに来ただけ。それに…善悪の見分けはつくつもりです。国民に害が及ばない限り、穏健派のあなた達を捕まえる気はありません。」
私は私なりの正義を貫く。
だが…やっと恩人に会えたのに…
互いの立場が違うせいで今後は対立しなければならない。