第16章 取り調べ【桂小太郎】

「桂さん…ずっと…ずっとお会いしたいと願っていたんです。」

「そうか…。」

「ずっと…あの時助けてくれたあなたのようになりたいと思って……なのに…なんで…敵側なんですか…っ！」


どうやら、強い憧れはいつしか恋に変わっていたようだ。

凛の目から、一滴の涙がポロリと落ちた。


「泣くな…」


桂がそれを指で拭い、そのまま凛を抱きしめた。


「くそっ…」

「桂…さん？」


見上げれば、桂は少し苦しそうな顔をしていた。


「大切だと…守りたいと思ったが…時既に遅しってやつか…そなたが人妻でなければ…」

「あ、アレ、嘘です。」

「は？」


どうやら人妻という設定を信じていたらしい。


「どこからか、桂さんが人妻好きという情報を入手しまして…気を許して情報を吐いてくれるかと思ったんです。」

「そうだったのか。」

「すみません。」

「謝る必要はない。むしろ問題無くて安心した。」

「……はい？…んん…っ!?」


桂は自分の唇を凛の唇と合わせ、そのまま流れるように押し倒した。


「あ、あの…私達、敵同士…」

「今だけは、一人の女としてここに居てくれ。」


綺麗な顔で切ない目で言われ……好きな人を拒めるわけもない。