第16章 取り調べ【桂小太郎】
翌日、体調不良を訴えて仕事を休み、喫茶JOYへ向かった。
(ちなみにかぶき町広場には、背に「ネコ」と書かれた全身白タイツのゴツい男がいた…)
そして着いて早々、なぜか個室(座敷)に通され…五分程経って桂が登場した。
「やはり来たな。」
「ええ…お望み通り一人で来ました。でも…仲間になる為じゃない。」
凛は小さく深呼吸して桂の顔を見た。
「聞きたい事があるの。」
「何だ。」
「あなたは…攘夷戦争の時、少女を助けた事ありますか。」
「ふむ…たくさんの命を救ったからな。その中に少女も含まれていたかもしれぬが…はっきりとは覚えていない。」
ただの…思い違いか……
命の恩人に、人生の恩人に…やっと会えたと思ったのに……
期待が大きかったが故に、思ったよりショックは大きかった。
はぁ…と溜め息をついて俯いていた顔を上げると
「何笑ってるんですか。」
桂がニヤニヤと笑っていた。
「安心しろ。貴様の事は覚えている。」
「……っ!!」
この人が…あの人……