第16章 取り調べ【桂小太郎】
「仕方ない…俺の非常食をやろう。」
「え?」
桂は自身の豊かな髪をゴソゴソと探り、髪の中から何かを取り出した。
「キャラメルだ。」
「黒柳○子か!!」
「む…キャラメルでは不満か…ならば…」
スポッ
「んまい棒だ。」
「なんでんなモンが髪の毛の中に入ってんの!?ヅラなの!?ポケット付きのヅラなの!?」
「ヅラじゃない。桂だ。」
「あ、やっぱり鬘…」
「鬘じゃない。桂だ!」
「ややこしいわ!!」
本当にこいつは何者なんだ…
人として何かおかしい気がして、凛は少しだけ椅子を引いた。
そして結局、ちょうどお昼時というのもあって、二人にカツ丼が支給された。
「普通…吐かせるために容疑者に食べさせる代物ですよね…これ。」
「カツ丼くらいで俺が喋ると思うか?」
「それもそうですね。」
「だがどうしてもそれが食いたくないというなら、貴様のそのカツ丼一杯を仲間の一人の名前で買ってやる。」
「釣られるんかい!!」
ま、結局何もしゃべるつもりはないだろうから、凛も遠慮なくカツ丼を平らげた。