第16章 取り調べ【桂小太郎】
「今回取り調べを担当いたします、一ノ瀬凛です。」
「あ、どうも。よろしく。」
席に座り、改めて桂を見た。
本当に指名手配犯かと疑うくらいに落ち着いていて…
「(写真で見るよりずっと綺麗な顔……いやいや、何考えてんの、私!集中、集中。)」
凛は頭を振って邪念を振り払った。
取り調べは案外普通に進んでいた。
相変わらず何も情報は得られなかったが。
「桂さん、情報を漏らして仲間から報復されるのが怖いなら、それは大丈夫です。私達が全力で守りますから。」
「そのような事は考えていない。一人の男として、命をかけている仲間を売る事は出来ん。」
こういう言葉を聞くと、やはりリーダーの風格があるなと思う。
ただ暴れたいだけの下っ派過激派浪士とは違う。
「やっぱり口は固いんですね…」
凛がそう溜め息をついた時
ぐううぅぅー…
凛のお腹が鳴った。
「………………。」
「………腹が減っているのか…」
「あ、朝からまだ何も食べていないもので……すみません…」
恥ずかしすぎる。
穴があったら入りたい。
今なら監獄でもいいから入りたい。