第15章 初詣【沖田総悟】
「沖田さん?ボーッとして、どうかしたんですか?」
昔を思い出していた俺の顔を凛が覗きこむ。
「別に…この飼い犬をどう躾けてやろうか考えていただけでさぁ。」
「なっ!?また私をペット扱いですか!!」
「あ、順番まわってきやしたよ。」
「話をそらすなあああああ!!」
付き合ったはいいが…こんな風に未だ素直に可愛がってやれない。
姉上同様、また誰かに持っていかれるんじゃないかと思うと、少々…いや、かなりムカつく。
俺は五円玉を賽銭箱に投げ入れ、軽く手を合わせた。
「(ちっぽけな小銭一枚で一体何を叶えてくれるってんでい。)」
まるっきり「神」とやらを信じていない俺に、祈る時間は必要ない。
一つだけ、宣言の様な願いを頭に浮かべ、合わせた手をさっさと降ろして隣の凛を見た。
「………と………い………あとは……で………ます……」
凛は俺と違って何やら一生懸命に祈っている。
何をそんなに頑張ってるんだか。