第14章 年末【土方十四郎】
『この野郎っ!』
『きゃっ!!』
『てめえ!ちょこまか逃げんなっ!!』
凛は少し後悔した。
好きな土方さんに少しでも誉められたくて早まっちゃった!!
このままじゃ誉められる前に、想いを告げる前に殺されちゃう…っ!!
『うぉりゃあっ!』
『きゃあっ!!』
『隙ありいいいぃぃぃ!!』
刀を弾き飛ばされた凛に男が刀を降り下ろす。
…っ!切られるっ!!
― ザシュッ! ―
だが切られたのは凛ではなかった。
『くう…っ!』
『ひ、土方さんっ!?』
凛の前に立ちはだかった土方が代わりに切られてしまった。
『土方さ…血が…』
『なに…一人で突っ走ってやがる。』
あれ、土方さん…怒ってる……?
『そ、そんな事より血が…土方さんは下がってください。ここは私が…』
『ったく…危なっかしいんだよ。お前は俺のそばで俺に守られてろ!!』
そして武器を失った凛を抱えながら応戦したのだ。
凛はそれで完全に心を奪われた。
そして事件収束後、凛が告白したのだった。
『土方さん…付き合ってくれとは言いません。でも…大好きです。』
『………………。』
『えと……迷惑でしたか?』
『いや…てか…あの時、俺、告白のつもりだったんだが…。』
『…………え。』
なんとも締まらない始まりだった。
だが結局、二人は両想いでめでたく付き合う事となったのだった。