第14章 年末【土方十四郎】
「本当に…どうしたんだよ。」
いつまでも眺め続ける凛に土方は怪訝な顔をした。
「いえ…もう今年が終わっちゃうなって思って。」
「ああ、そうだな。」
「今年は私にとって信じられない程の幸せをもらった年になりました。」
凛は土方の手をとる。
「副長と付き合えるなんて。」
「俺もびっくりだったよ。……ま、始まりは全くロマンチックじゃなかったけどな。」
「ふふ!そうでしたね。」
二人は付き合った日の事を思い出していた。
真選組がとある大物捕りの最中、敵がウジャウジャいるにも関わらず凛は突入していった。
『あなた達はもう終わりよ!大人しくお縄につきなさい!!』
『んだ?このアマ…ナメんじゃねえぞ!!』
『畜生!せめてもの足掻きに真選組隊士を一人でも多く殺ってやる!!』
敵の懐深くまで入れたのはいいが、あまりに凛の足が速すぎて他の隊士がついてきていなかった。
いくら真選組隊士とは言え、凛は女。
敵の男達に囲まれてしまい、危ない状況に陥ってしまった。