第12章 初雪【神威】
「それで、私をこんな風に縛りつけて…何が目的ですか。」
早くこの場を逃げ出したくて、凛は目の前にいる少年を睨み付けた。
だが予想外にも、少年はお腹を抱えて笑い出す。
「くっ…はははははは!」
「な、何が可笑しいんですか。」
「いやいや、予想通り面白いコだと思ってね♪」
少年は目尻の涙を拭く。
「ここを春雨のアジトだと分かっておきながらその態度。なかなか胆が座ってるね。」
「…挫けてたまるもんですか。天人なんかには負けないわ。私をここから出して。」
「………ふふ。」
少年はニヤリと黒い笑みを浮かべてゆっくりと近づいてくる。
ヤバい……あの笑顔…恐い。
「俺は神威。君の事を気に入っちゃった。君を俺のものにするよ。」
…………………………は?
凛は世にも珍しい程の間抜け顔を披露した。