第12章 初雪【神威】
『このアマ…俺達にそんな口利いていいと思ってんのか!?』
『国交が何だってのよ。知ったこちゃないわ。』
『貴様…俺達を何者だと思ってんだ…あ?』
凛は、はぁと溜め息を一つついて蔑みの目を向ける。
『弱いものをいびるしか能のない寄生虫。』
『てめええええ!!』
しまった、やり過ぎた!!
振り上げられた剣に身を強張らせ、ギュッと目を瞑った時
『コラコラ。弱いものイジメも程々にネ。』
『だ、団長っ!?』
穏やかな声といつまでもこない剣の痛みに凛がゆっくりと目を開けた。
だが
『でもちょっと面白いコだから持って帰ろうかな?』
え…持って帰るって、何を…?
目の前の人物を確認する前に手刀を受け、呆気なく意識を手放してしまった。
あの時の穏やかな声と同じ声……
「あなたが…助けてくれたの…?」
鎖で繋いでる時点で純粋に助けてもらったとは言い難いが、あの時死なずに済んだのも事実だ。
「ん?確かにあのままだったら君はあいつらに殺されていただろうね。」
「う…ありがとうございます……」
「殺す」なんて残酷な台詞をニコニコした顔で言うもんだから、凛は背中に冷えたものを感じた。
一瞬で分かった。
コイツは……ヤバい。