第12章 初雪【神威】
「う……ここは……どこ…」
凛は重たい瞼を押し上げた。
目の前にはニッコリと笑ったサーモンピンクの髪をした男の子。
「ここは俺達の地球での拠点だよ。宇宙海賊春雨のね。」
「宇宙…海賊……春雨っ!?」
最悪の集団の名前を聞き、凛の意識は一気に覚醒した。
「なっ、なぜっ!!」
― ガシャンガシャン ―
少年から身を引こうと全身を動かそうとしたが、それは叶わなかった。
「鎖で繋げさせてもらったよ。逃げられちゃ困るからね。」
凛の足は重いおもりと鎖で繋がれ、手は後ろで柱に縛りつけられていた。
「……くそっ……なぜ私を生け捕りにしたの…」
数時間前、凛は路地裏で天人に絡まれている男性を見つけた。
『あなた達!何をしているの!!離れなさいっ!!』
『ぁんだ?お前は。』
凛は男性と天人の間に割り込み、天人を思いっきり睨み付ける。
『早く逃げてください。』
『す、すみませんっ!!ありがとうございますっ!!』
『あ、ちょ、待ちやがれ!!』
男性は一目散に逃げ出し、すぐに姿を消した。
『この女…何しやがる!』
『そっちこそ何様よ!!小市民をいたぶって何が楽しいの!』