第16章 勝負と力と天空闘技場
100階クラスに入ってから、数日が経った。
「…ゼ、ゼロが、いち、に、さん、しぃ……」
「大丈夫ー?」
「ほっとけよゴン」
私は、目の前の通帳に刻まれた数字を必死に数える。
こ、こんな数学見たことがない!!
一人で感動していると、キルアが思い出したように口を開く。
「……あ、そーだには話してなかったな」
「ん?」
私に話してないこと?
……キルアの顔が真剣。
…なんか嫌な予感が。
「60階ロビーでお前を待ってたとき、ゴンには話したんだけどよ」
「へぇーそっかふーん」
「まだ何も言ってねぇよ!」
いや、だってさ…なんかめんどくさい。
キルアが真剣に悩むことは、きっとめんどくさい。
だから聞きたくない!
「お前"レン"って知ってる?」
「は?」
「いや、だから"レン"」
……全く話が読めない。
とりあえず、そこまでめんどくさくなさそうだから、キルアに詳しく話を聞くことに。
……なるほど。
話を聞くと、50階の勝負の時、キルアと戦ってズシが倒れなかった理由、それはズシが"纏"を使っていたから。
そして、キルアがズシに感じたオーラは、間違いなく"練"。
ウイングさんが言っていた"レン"も"練"!!
……これ間違いなく念じゃん!
「……で?」
「ん?」
「ん?じゃねーよ、が知ってるか聞いてんだぜ」
あ、そっか。そうだった!
知ってるけど……そんなこと言ったら、きっとキルアは納得いくまで追求してくるだろうなぁ。
私もあんまり念分かんないし……
「ワカリマセーン」
「あっそ、まぁいいや。期待してなかったし」
「!!!こんのクソガキ……だったらはじめからズシに聞けばいいじゃん!」
その言葉にはっとするキルア。
おま、完全にズシのこと忘れてただろ!