第8章 一人と一番とトリックタワー
「いま、わーかれ~のときぃ♪とびたーとぉ~、みらいしんじてぇ~↑♪」
合格してから、何時間経ったんだろ。
とりあえず私は暇なので、壁倒立しながら旅立ちの日にを歌っている。
え?なんで壁倒立してるかって?
いや、特に意味はないよ←
腕時計を見てみると、やっと6時間くらい経ったところだ。
まだまだ長いなぁ……あ、なんか無性にプリンが食べたくなってきた。
やば、プリン食べてぇえええ!!!
ゴゴゴ………
「…!!」
私のすぐ隣の扉が開いた。
誰か合格したのかな………??
『44番ヒソカ、三次試験通過第二号!!所要時間6時間17分!!』
「………………」
「……………おや◆」
私は壁倒立したまましばらく黙って、ゆっくりと元の体勢に戻る。
そして極限まで遠くに逃げた。
そりゃ、ゴキブリのごとく。
「そんなに逃げなくてもいいじゃないか◆」
「ワタシ英語ワカリマセーン」
「あ、あそこにプリンが◆」
「Σなにぃ!?」
ヒソカの指差した方へ顔を向ける。
…何もない………は!だまされた!!
気づいたときには既に遅し。
また私はヒソカの念に捕まって、ズルズルと引っ張られる。
「さて◆暇だしババ抜きでもしようか★」
「二人でババ抜きかよ。しかもヒソカとやるのかよ。マジ萎える」
「まぁまぁ★プリンあげるからさ◆」
「まーたそういう嘘ついて……ってホントにある!!!」
ヒソカの片手にはプリンが乗っていた。
そして、私に差し出す。
「奇術師に不可能はないの◆」
「うぜ。…………でも、もらいます。ありがと…」
「どういたしまして♪」
なぜか、変態ピエロに少しだけ心を開いたであった。