第8章 一人と一番とトリックタワー
ガンッ!!
「おぶっ!!」
本日二回目の落下。
きっと私の頭にはたんこぶが2つできているんだろうね。
落ちてきた場所には二つの扉と、腕時計のようなものが置かれていた。
「……もしかして、私隠し扉に落ちたとか…」
『そのとーり!』
「!!?」
声の聞こえた所に目を向けると、スピーカーから声が聞こえていた。
『このタワーには幾度通りものルートがよういされており、それぞれクリア条件が異なるのだ。まずはそこにある腕時計をつけるんだ』
「はーい」
じゃあ、私は一人でクリアしないといけないわけか。
……ううう、ゴン達と一緒が良かったなぁ…。
とりあえず、腕時計をつける。
『つけたか?』
「いいえ」
『早くしろ』
「つけました」
『よし』
「いいえ、つけていません。どうせこの世界の時間という流れに、人間は逆らえないのだから」
『Σどっちだよ!!!!めんどくさいこと言ってないで早く腕時計つけろ!!!』
「さーせん、最初からつけてます」
『お前ほどめんどくさい受験生は初めてだ』
ノリ悪いなぁ~、冗談なのに。
『そこは天国と地獄の道だ。その扉のヒントを見て、どちらに入るかよく考えるんだな。選択次第でお前の行く道は決まる。では、健闘を祈る!』
そこで、声が消えた。
天国と地獄の道、ねぇ。
とりあえず、二つの扉の前に書いてある文章を読んでみ……………………………………………読めねぇえ!!!!
そうだった!私この国の文字読めないんじゃん!!
「ちょ、通訳!通訳プリイィイズ!!!!」
なんて言ってもホントに通訳が現れるはずもなく………
………これは勘で行くしかないな。
「どーちーらーにーしーよーぉーかーな♪」
………よし!左の扉に決まり!
私は左の扉に手をかける。
がちゃっ。
「え、」
開けて中に入った瞬間、私は暗闇のなかに落ちていった。
「おいィィィィまた落ちんのかよォォォォォォ!!!」
ちなみに、扉の前に書いてあったヒントは、
「右の扉は、天国だけど地に足がつかない。左の扉は、地獄だけど二度と天を拝めない」