第8章 一人と一番とトリックタワー
………なんだろう、暖かい。
お日様に抱きついてるような……そんな、気持ち。
なんだか強い香りがするけれど、お父さんの背中みたいで………………って、あれ?
「………ん?」
「お、やっと起きたか」
目覚めて第一に見えたのは、レオリオの顔面……
「ぎゃあああああっ!!」
「うおぉっ!!?耳元で叫ぶな!!!…お、おい暴れるな落ちるっ……」
ガンっ!
落ちました。私が。
「いった!!!…………………って、あれ?ここどこ?」
よくよく見渡すと、ここは飛行船じゃない。
「お前が時間になっても起きねぇから、オレが担いできたんだよ!!」
「飛行船ならもうとっくに飛んでいった」
レオリオとクラピカが呆れ気味で言う。
どうやら私が眠っている間に、もう三次試験が始まっちゃったというのだ。
………てゆーか、私さっきお日様に抱きついてるような…とか、そんなこと思ってたよね?
うわああ、レオリオの背中でそんな思いしてたなんて!!
…まあそんなことは置いといて、その試験内容が
「このトリックタワーを、生きて下まで降りてくること。制限時間は72時間」
らしい。
「…でも、どうやって?」
「今、それについてレオリオと話していたんだ。きっと隠し扉がある。受験生も半数近く減っているんだ」
「なるほど…………………じゃあ、ちょっとこの辺歩いてたら、もしかしたら隠し扉が」
ガコンッ!
は隠し扉に落ちていった。
「…………………」
「…クラピカ」
「なんだ」
「……あったな、隠し扉」
「…………そうだな」
残されたレオリオとクラピカは、なんともいえない気持ちであった。
「レオリオ、クラピカ、ー、隠し扉見つけたよ…………って、あれ?は?」
かけつけたゴンが、不思議そうに問う。
「隠し扉を見つけて先に行っちまったよ」
「落ちたの方が正しいだろう」
「え?あいつバカなの?」
鋭くいい放つキルアであった。