第31章 尾行と捕獲と旅団本拠地
『ゴン!!』
キルアの焦った声が聞こえる。
『ヤツらの顔やしぐさに少しでも違和感感じたらすぐ逃げるぞ、オレが合図したらソッコー脱出だ、いいな!』
「!」
キルアがこんなに焦るなんて……
これは本当に注意して見なきゃ。
緊張が体に走る。
男は別の誰かからの電話に対応しているけど、何が起こるかわからない。
慎重に、注意して……
少しの間男を見つめていた。
そのとき、
ゾッ!!
「!!!」
男が、目だけをこちらに向けた。
これは完全にバレた!!
逃げなきゃっ…
すぐさま隠れていた部屋の入り口に向かって走る。
すると、入り口に真っ黒な影が姿を現した。
え、こいつ…
「何だ、見覚えあると思たら前会た女か」
ニィッと目だけ笑う黒ずくめの男。
まさしくあの万引き男だった。
なんでこの人がここに!!?
とゆーか考えてる場合じゃなかった!
逃げ…
ガシィッ!
「いだだだだ!!」
逃げようと足を踏み出した瞬間、万引き男が一瞬でこちらに移動してきた。
しかもケガした左腕をめっちゃ掴んで……って、ほんとに痛いんだけどこれ!
あまりのオーバーリアクションに万引き男も驚いてる。
そりゃそうだよね、たぶん少し腕掴んで止めただけだもんね。
「何ね…これが痛いのか?弱すぎる、あの二人を尾行してたなんてウソね」
かちん。
ときてしまった。
「…あ、あのですねぇ!ちょうどケガしてるんですよそっちの腕はァァ!!」
「!」
ドゴォ!
咄嗟にくり出したまわし蹴りが、なんと、
命中!!
男は少し空中を飛び……着地。
………うわああああああやっちまったあああ!