第30章 目利きと宝と掘り出し物
プルルルル…
ピッ、
『もしもし、かどうした』
「レオリオあのね、実はいまかくかくしかじかで旅団のうち2人を追跡中なの」
『マジ!?つーかゴンとキルアは!?一緒じゃないのか!?』
「見失っちゃいけないから一人で店を出てきたの。それに今ゴンとキルアに伝えても旅団は動いてるし、もし向こうに気づかれたり鉢合わせになったら終わりじゃん」
うおおおお!なにこれ!
なんか珍しく私がもっともなセリフ言ってる!!
「だから、あの2人がどこかでひと息つくまで私が尾行するよ。そしたらレオリオに連絡するからゴンとキルアに伝えて」
『大丈夫なのか?一人で』
「ドントウォーリー!」
『……分かった、じゃあそれまで尾行は頼んだぞ。そのかわり何かあったらすぐにオレやキルアに連絡しろよ?』
「うん、じゃあもう切るね」
『おう』
プッ、
一応キルアにメールしとかなきゃ…
しかしその間にも旅団の二人はずんずん進んでいく。
お、人ごみ抜けるから"絶"した方がいいよね。
「……にしても、」
あの男なんで髪の毛おろしてんだろ?
いや、たぶん普段ちょんまげだから変装のつもりかもしれないけどさ…めっちゃサラッサラじゃん。
なのにヒゲ面って……つらすぎる、この上なくつらすぎる。
しかも後ろ姿がイルミとモロかぶりなんだよね。
そう考えながらしばらく歩いていると、二人はショップモールへと入っていく。
「あれ?」
そういえばさっきから思ってたけど、普通男女二人で市場とかショップモールとかまわらないよね?
…え、え?
まさか、
デートというヤツですか!?
嘘だァァ!あの美女があんな浮浪者みたいなヤツとデートするわけがない!!
あんな男よりもっと、こう……あるだろう!?(必死)
なんて一人でもんもんと考えても、二人は進んでいく。
あああ見失っちゃう!
てゆーかまた人ごみかよ!
「…つけられてるな」
「今のとこ一人だね。市場の辺りからずっとついてきてる」
「"鎖野郎"かもしんねぇな」
「………いや、なんかちがう気がする」
「はぁ?何でだよ。また勘か?」
「勘だけど何でだろう、ここは譲れない。今のヤツは絶対ちがう」
「そ、そんなに言い切るならいいけどよ…」