第28章 再会と腕相撲と条件競売
「…………」
「…………」
いや、万引きだよね?
私がこの人の肩を押したから、マントに隠してた雑誌が落ちてきちゃったんだよね!!?
すると目の前の男は私を睨み、舌打ちしてきた。
オイ感じ悪すぎだろっ!!
「せかくの盗みも台無しね…お前、どうしてくれるか」
「やっぱ万引きだったんかい」
「万引きじゃない、盗みね」
「どっちも変わらないから。盗みって言うと少しだけカッコイイだけだから」
「うるさいよ。とにかく責任は取てもらうね」
男はまた私を睨むと、ずおぉおっと黒いオーラを出してきた。
こ、この人念使いだったの!?
しかもめっちゃ怖い!!ヤバい!!
殺されるっーーー!!!
ポンッ。
「……は?」
「買え」
私の手の上には先程大量に落ちていたグロ雑誌。
うわ、グロいグロいっ!!
「ワタシの盗みを台無しにした罰ね。お前が買てワタシに差し出すね」
「なっ!ジャイアンよりひでぇっ!!」
「殺されたいか?」
「ごめんなさい失言でした」
この人ちっちゃいけどただ者じゃないな……めっちゃ強そう。
何で私ってヤバい人に会うこと多いんだろ?
「ありがとうございました~」
あぁあ買っちまったよ、こんなグロ雑誌。
隣を見るとすでに手を差し出してる万引き男。
そんなに読みたいのかコラ。
私は男の手に大量の雑誌をドサッと乗せる。
「フン、殺されなかただけでもありがたく思うね」
この人は私を最後まで脅してるつもりなんだろうけど、いま全然怖くないよ。
だってめっちゃ嬉しそうだよこの人。
細い目がさらに細くなってるよ。
「じゃ、ワタシはもう行くよ」
「あ、はい」
万引き男は少しゴキゲンで去っていった。
強くても変な人がいるもんだなぁ~………あっ!
「ゴン達の方に戻んなきゃ!」