第28章 再会と腕相撲と条件競売
私が降りると、レオリオはひとつのケータイを手に取った。
「オレのおすすめはこの"ビートル07型"。全世界対応、屋外での圏外なし、200種類の民族言語通訳機能付き。TVも観れるし録画もできる」
「え、マジ!?ゴンこれにしようぜ、オレも買う!!も買えよ!!」
「わ、私はいいかな…」
確かに機能はすごい。
でも私は仮にでも女子、さすがにカブトムシ型のケータイはあまり受けつけない。
「よし、じゃあ2つ買うか」
レオリオは見本のケータイを手に、店員のもとへ歩いていった。
………あれっ?
あれはレオリオが買うの??
しかし、その考えは次の話し声で消えた。
「よぉオッチャン。このケータイくれ、いくらだ?…………………2本で40万!?高ぇーよ!!8万!!2本で!!」
値切りかよっ!!!
てゆーか40万を8万に変えられるワケがないっ!!
それでもしばらくレオリオの値切りは続く。
「…すげーな、アイツいよいよ十の位で値切り始めた」
「なんかギャラリーが出来てるよ」
思わずゴンとキルアでも冷や汗を流す。
うわぁあ、ゴンの言う通りめっちゃ人いるよ!!
「レオリオにこんな特技があったなんて…」
「これ特技って言うのかよ」
「一本11万580ジェニーか。新機種だし、あのテの店にしちゃ負けてくれた方だな」
あれから数十分後、無事ケータイを買えた私達はまたヨークシンの街を歩いていた。
すると、キルアがため息をつく。
「てかな、やり過ぎ!ケータイ買っただけで見物人から拍手されたやつ、初めて見たぜ」
それは誰でも初めて見る光景だったと思うよキルア。
「バッカ、値切んのは常識だろ?言っとくがオレの本気はあんなもんじゃねーぜ。ちなみにオレは同じ機種を8万29ジェニーでゲットした!」
「定価20万を8万で!!?」
店員さん泣くわ!そんなことしたら!!
「おうよ。相手がもう帰ってくれって言ってからが本当の商談だぜキミ達」
そうやって誇らしげに言うと、わっはっは!と歩き出すレオリオ。
ある意味オークションから一番遠いキャラだな。