第21章 凝と約束と不戦勝
「さて、と……」
ズシとゴンとが部屋を出たのと同時に、キルアは外へ出る準備をする。
あのしつこい能面野郎がゴンと戦うのをあきらめるとは思えない。
きっとズシかに手を出して無理やりにでもゴンを戦わせるだろうな……
「よし、行くか」
「!!?」
とりあえずズシを尾行していたが、人混みの先に見えたのは気絶したを抱える能面男。
その隣には仲間の車イス男もいた。
はそれなりに強いし、ないとは思ってたんだけど……
「ちゃっかり捕まってんなよ…」
そんな独り言を呟きながら、オレはその能面男に近づく。
「やめとけよ」
「!」
「こんなカビ臭くてせこいマネしなくてもさ、オレが相手してやるよ。いつがいいんだっけ?」
オレが交換条件を出すとそいつはあっさり承諾。
コイツのために勝ちを譲るのはスゲー嫌だけど………ゴンとのためだしな。
を奪還するべく、オレはその男二人と受付に向かった。
「5月29日っと………さ、これでいいんだろ?」
「あぁ、それじゃ返そう」
なんとかを奪還。
気絶してるからおんぶしてみると、軽い。
こいつちゃんと食ってんのかな?
「あ、言っとくけどもうこれっきりだぜ。もし約束を破ったら……」
能面男の方を振り向くとき、の顔が少しだけ見えた。
「…ま、いーや、やめとこ」
「何だよ気になるなー」
うるせーな。
お前らなんて本気出したら一瞬なのに…