第21章 凝と約束と不戦勝
「じゃ、おやすみズシ」
「おやすみなさいっす!」
私はあれからエレベーターでズシと別れ、元来た道を戻っていた。
「いやぁ、ほんとキルアとゴン最強すぎでしょほんと。本気出せば凝なんてあっという間に…………ん?」
廊下の先に何か落ちてる。
……ハンカチ?
「誰か落としたかな?」
拾ってみると、ハンカチのはしっこに小さく"ズシ"と書かれている。
Σつーかズシのだったのかよ!!!
今どきハンカチ落とすとかどんだけ乙女なんだあの子は!!
「……うーん、今追いかければ間に合うかな?」
明日返してもいいんだけど、私が忘れちゃいそうだしなぁ…
「よし、追いかけよう」
私はズシにハンカチを渡すべく、エレベーターに乗り込んだ。
「…あれー?」
闘技場の正面入り口まで来たけど、人混みのせいでなかなか見つからない。
ちっちゃいからなぁ、ズシ。
いや私も小さいけどさ!!
「お!」
人を掻き分けて進んでいくと、ズシの後ろ姿が見えた。
よっしゃ見つけた!
私がズシのところまで駆け出そうとした、その時
ぐるんっ!
「!!?」
私の腕に、何かが巻きついた。
な、なんだこれっ!?
バリッ!!!
気づいた瞬間、一気に電流が体のなかに入っていくのを感じた。
やばい、目がチカチカして何も動けん。
「……通り魔でもいたのか、な…………」
バタッ!
私はそのまま意識を手放した。