第2章 僕の特別はあなただけ*黒子*
部活が終わって、携帯を開くとさんからメールが届いていた。
「部活お疲れ様でした。待ってるから、今日一緒に帰ろう。終わったら連絡してね。」
終わりました、と返事をしてみると、すぐに彼女が姿を現した。
「テツくん、お疲れ様。」
「すみません、待たせてしまって…。」
「いいの。私が勝手に待ってるって言ったんだから。」
現れた時の強張った表情。
沈んだように落ち着いた声色。
並んで歩き始めてもその様子は変わらず、いつもと違うことは一目瞭然だった。
「…さん、何かありましたか?」
声をかけてみると、彼女はその顔により複雑な色を浮かべた。
「…それは私が聞きたいことだよ。」
一言が溢れた後、彼女は足をピタリと止めた。
「…え?」
「…私の思い違いかもしれないけど、今日テツくんに避けられた気がしたの。廊下にいたでしょ?目が合ったと思ったのに、逸らされたから…。私が何かしたなら、はっきり言ってほしい。」
目に涙を滲ませながらも、真っ直ぐに見つめてくる彼女に、ただただ申し訳ない気持ちが込み上げた。
自分の身勝手な嫉妬心で、彼女の心を傷つけてしまった。
そっと彼女の手を取り触れてみると、すっかり冷えてしまって微かに震えていた。
両手でその小さな手を包み込むようにしながら、言葉を紡いだ。
「すみませんでした。…さんが悪いわけではないんです。…ただの独占欲なんです。」
「え?」
格好悪くてもいい。
今は素直に自分の気持ちを伝えることが大事だ。