• テキストサイズ

黒子のバスケ*Short Stories4

第2章 僕の特別はあなただけ*黒子*


部活が終わって、携帯を開くとさんからメールが届いていた。

「部活お疲れ様でした。待ってるから、今日一緒に帰ろう。終わったら連絡してね。」

終わりました、と返事をしてみると、すぐに彼女が姿を現した。

「テツくん、お疲れ様。」

「すみません、待たせてしまって…。」

「いいの。私が勝手に待ってるって言ったんだから。」

現れた時の強張った表情。

沈んだように落ち着いた声色。

並んで歩き始めてもその様子は変わらず、いつもと違うことは一目瞭然だった。

「…さん、何かありましたか?」

声をかけてみると、彼女はその顔により複雑な色を浮かべた。

「…それは私が聞きたいことだよ。」

一言が溢れた後、彼女は足をピタリと止めた。

「…え?」

「…私の思い違いかもしれないけど、今日テツくんに避けられた気がしたの。廊下にいたでしょ?目が合ったと思ったのに、逸らされたから…。私が何かしたなら、はっきり言ってほしい。」

目に涙を滲ませながらも、真っ直ぐに見つめてくる彼女に、ただただ申し訳ない気持ちが込み上げた。

自分の身勝手な嫉妬心で、彼女の心を傷つけてしまった。

そっと彼女の手を取り触れてみると、すっかり冷えてしまって微かに震えていた。

両手でその小さな手を包み込むようにしながら、言葉を紡いだ。

「すみませんでした。…さんが悪いわけではないんです。…ただの独占欲なんです。」

「え?」

格好悪くてもいい。

今は素直に自分の気持ちを伝えることが大事だ。
/ 16ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp