第1章 たまにはお寝坊さん*紫原*
「起きてるのー?」
声をかけてみたけど返事はなくて、やっぱりちんは気持ちよさそうに寝息を立ててる。
足を布団に滑り込ませて横になり、ちんの身体を腕の中に閉じ込めるようにして、ぎゅっと抱きしめた。
そしたら寝てるはずなのに、俺のパーカーをそっと掴んで擦り寄ってきた。
「…可愛いねー。」
小さな背中をとんとんとリズムを刻むように叩いているうちに、俺もうとうと微睡んできた。
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「…えっ!もう11時!?」
隣からびっくりしてるちんの声が聞こえてきて、ぱっと目が覚めた。
すると腕の中のちんが目を丸くして携帯の画面を見ていた。
「あー、起きた?」
「…うん。…起きれなかったね。」
「言っとくけど俺先に起きて、ちん起こしたからねー。まぁ、俺も寝ちゃったけど。」
あんまりしょんぼりしてるから、ぎゅってしてあげた。
「…敦にぎゅってされると、包み込まれてるみたいで安心する。」
「そー?」
たまにはこんな朝もいいんじゃない?
時間なんて気にしないで、布団に潜って二人でまったり過ごすのも。
「あ、洗濯物干しといたー。」
「本当!?敦、ありがと!」