第1章 たまにはお寝坊さん*紫原*
久々に休みが重なった日曜日の朝。
寒いベランダから暖かい部屋の中に飛び込むように戻った。
「んー…とりあえず洗濯物は干してみたでしょ。様子見てこようかなー。」
洗濯かごを片付けて、寝室の扉をゆっくり開けた。
ベッドの上ですやすや寝息を立ててるのは、最近一緒に暮らし始めたちん。
確か携帯のアラーム掛けてたはずなのに、どうやら止めてまた寝ちゃったみたい。
ベッドに腰掛けて、ちんのほっぺたをつんつんしてみた。
「ちーん、朝だよー。」
その感触で意識を少し取り戻したみたいで、ぎゅっと眉を寄せてうっすら目を開けた。
「…敦?」
「おはよー。起きた?」
声をかけてみたけど、まだちんは寝ぼけ眼のまんま。
「…眠たいよー。」
「せっかく休みが一緒になったから、溜まった家事全部やって出かけたいって言ったのちんでしょー?」
「うーん…。」
そう言いながらまた夢の中に行っちゃったらしい。
…疲れてるんだろーなー。
俺、仕事でほぼ家にいないから、ちんに家のこと全部任せきりだし。
ちんも仕事で遅いみたいだし。
目の下に刻まれた隈にそっと触れて、おでこにキスした。
「…ごめんねー。」
頭をよしよししてあげると、寝てるのに何だか嬉しそうにしてる。
このまま、寝かせてあげたいかな。
ゆっくりベッドから腰を上げると、不意に後ろから引っ張られていたのを感じた。
振り返るとちんがぎゅっと俺の服の裾を引っ張ってた。
「…行っちゃやだ。」
寝言のように呟いたその言葉に、やられた。