第8章 *New choice。
「…そうなんだよ…」
「?」
そんな私達のやりとりを黙って見ていた澤村先輩がゆっくりと口を開いた。
「俺達にはまだ色々足りてなくて、今日の勝利もギリギリだった」
「いっ、いっぱい練習しますっっ」
「あっうん!個人のレベルアップも大事だな!」
自分のことを言われたと思って焦る日向に驚く先輩。
…心の中で、しまったプレッシャーかけた!とか思ってそうだな。
「けど…今の烏野は根本的にメンバーが足りてないんだよ」
「?」
「…守備の要の“リベロ”と、連係攻撃が使えない時でも一人で敵の3枚ブロックと勝負できる“エーススパイカー”」
「…あとは技術の指導とか、試合中の采配をとる監督とかコーチ…」
確かに、いくらチーム内でメンバーのバランスが取れていても、守備と攻撃両方の要となる存在がいないと公式戦を勝ち進むのは厳しくなる。
「エッ、エースならおれがっっ」
「おめーは“最強の囮”だっつってんダロ!」
勢い良く挙手した日向だけど、影山くんにツッコまれて言葉を失ってしまった。
なんとかフォローしてあげたいけど許せ日向、私にはどうにもできない。
「あっ!でも指導ができる人ならおれ知ってます!」