第8章 *New choice。
「けど別にどの学校に入ったって戦う相手は同じ高校生。勝てない理由なんかない」
真っ直ぐ前だけを見据えてそう告げる影山くんからは、
本当にバレーが好きで、勝つことに貪欲なのがひしひしと伝わってきて思わず息を呑んだ。
「負け惜しみは止せ!カッコつけて言ってもムダだ!」
「違いますよっ!!カッコもつけてません!!」
「こら日向、笑わないの」
……なのに田中先輩が影山くんを指差しながら茶化し、日向がそれを笑う。
この人たちがいると張り詰めた空気も一瞬で解れてしまうみたい。
まぁ、それが心地良くもあるんだけど。
「実際今日4強に勝ったじゃないですか!」
「ギャッ!?」
「あーあ、だから言ったのに…」
私の忠告も聞かず笑い続ける日向を見過ごすわけがない影山くんは胸ぐらを掴んで持ち上げる。
「まぁなー!あの青城に2-1!
俺もフリーで決められたし日向の囮のお陰だな!」
「あっ、あザース!」
持ち上げられながらも目を輝かせて喜ぶ日向。
あの忌まわしきバス酔いさえ無ければ私も皆の活躍がもっと見られたのにと思うと、じわじわと後悔の念に駆られた。