第8章 *New choice。
「俺は…引退した”烏養監督”が戻ってくるって聞いたから」
「うかい?」
「無名だった烏野を春高の全国大会まで導いた名将!
…だったハズ」
「へ〜」
実は、私はその烏養監督に何度も会ったことがある。
小学生の頃住んでいた家の近くに烏養監督の家があって、よく訪れてはバレーをさせてもらっていた。
と言っても当時の私はその家の主をただバレーが上手なおじいちゃんだと思っていて、中学生になり少し離れた所に引越してしまってから、その人が烏野の名将であることを知った。
烏養監督だと知らなかったとはいえ昔バレーを教わったなんて聞くと、きっと影山くんは羨ましがるだろうな。
「2・3年生は去年少しだけ指導受けたけど、すげえスパルタだったぞ…」
「……!」
「…なんで羨ましそうなんだよ」
思った通りの反応に思わず吹き出しそうになったけどなんとか堪える。
影山くんだけじゃなく日向も何故か羨ましそうなのは、2人の気が合ってるってことでいいのかな。
「烏養監督は本格的な復帰が決まってたんだけど、復帰後少しして倒れちゃったんだよ。
歳が歳だし…若い頃無茶したらしいし…」
「え、そうだったんですか?」
「うん、だから今のとこ復帰の予定は無いんだ」
復帰の噂は聞いていたがそれは知らなかった。
昔から活発なおじいさんだな、とは思ってたけど
まさか倒れるまで無茶をするとは。
…今度久しぶりに顔を出しに行こうかな。