第8章 *New choice。
「アレ?ていうか
影山ってなんで烏野に居るんだっけ?」
前を歩いていた田中先輩がいきなり止まって振り向く。
それは私もずっと気になっていたことで、横目で影山くんをチラリと見ると彼は律儀にぐんぐんバーを全部食べきってから口を開いた。
「…落ちました 白鳥沢」
「落ちた!?」
「白鳥沢から推薦来なかったし、一般で受けて落ちたんです。試験が意味不明でした」
表情一つ変えずに淡々と質問に答える影山くん。
彼の学力がどれほどかは分からないけれど、白鳥沢は普通に入ろうとすると結構難しかったはず。
一般で落ちたのなら納得がいくけど、推薦が来なかったというのは正直意外だ。
「で、なんで烏野?
まさかお前も”小さな巨人”に憧れて!?」
「え、待って、お前もって……日向も!?」
”小さな巨人”という異名を聞きついすごい勢いで振り向けば、日向はびっくりしたのか一瞬ポカンとした表情を浮かべてはすぐに目を輝かせた。
「まさか谷口さんも!?」
「春高に出てた”小さな巨人”に憧れて!」
「うおぉ!一緒だ!!」
日向との思わぬ共通点にお互いテンションは上がりハイタッチをする。
彼がスパイカーであることに拘っている理由も、これで分かった。
あの時の”小さな巨人”は、目が離せなくなるくらい格好良くて綺麗で、本当に空を飛んでいるようだったから、虜になる気持ちは私もよく分かるのだ。