第7章 * "Great King"
「インハイ予選はもうすぐだ。
ちゃんと生き残ってよ?俺はこの―
クソ可愛い後輩を
公式戦で同じセッターとして
正々堂々、叩き潰したいんだからサ」
「…………」
及川さんの指の先には険しい顔をした影山くんが立っている。
「〜〜〜レッ、レシーブなら特訓するっ」
「!!?おい放せ!」
「ちょっ、見えちゃう!!」
言われるがままでは悔しいのか、ツッキーくんの腕を思いっきり引っ張る日向。
そのせいで交差する、及川さんと私の目。
…………ば、バレた………。
「…レシーブは一朝一夕で上達するモンじゃないよ」
そう言い放った及川さんの目はどこか冷たく、私達の周りにピリッとした緊張感が漂った。
「主将君はわかってると思うけどね。
あとは………あぁ、綾乃ちゃんも、わかるよね?」
「はっ…?」
「だって綾乃ちゃん、バレー経験者でしょ?
そんで多分、レシーブ得意だよね」
「えぇぇ!?」
予想外の言葉に驚きを隠せずいると、及川さんが「あれ、違った?」と顔を覗きこんでくる。
「…や、やってましたけどっ」
どうして分かったのか問うと「バレーしてそうな手だったから」と返ってくる。
……た、確かに華奢な子に比べれば筋肉だってそこそこはあるし、つき指を繰り返した指は少々骨太になってますけど!?ていうかそんなことだけで気づきますか普通!?
口には出さないまま及川さんを睨む。
もしかしてこの人、エスパーか何か?