第7章 * "Great King"
「「「ありがとうございましたーッ!!!」」」
青葉城西との挨拶を終えバスへと向かう途中、澤村先輩がふと口を開いた。
「…武田先生はああ言ってくれたけど、いくら日向と影山のコンビが優秀でも、正直周りを固めるのが俺達じゃあまだ弱い。…悔しいけどな」
「おお〜、さすが主将!」
「!」
前方から聞き覚えのある声がして、皆一斉に立ち止まる。
もしかして………いや、もしかしなくてもこの声は………………
「ちゃんとわかってるね〜」
「で、出たっ…!」
やっぱりそうだ。背の高い部員が壁になってハッキリとは見えないけれど、そこにいるのは確実に及川徹。
私はとっさに近くにいたツッキーくんの後ろに隠れる。
「ちょ、何」
「シッ!あっちは私に気づいてないみたいだからちょっとかくまって…!」
明らかに嫌そうな顔を隠そうともしないツッキーくんなんて気にしていられない。
…ていうか、嫌な顔されるのもいつものことだし。
「今日は最後の数点しか戦えなかったけど……次は最初から全開で戦ろうね」
「!」
「あ、そうそう。サーブも磨いておくからね」
そうだよね…本当の試合ならあのサーブが最初から炸裂するんだ…。
「君らの攻撃は確かに凄かったけど、全ての始まりのレシーブがグズグズじゃあすぐ限界が来るんじゃない?」
悔しいけど、及川さんの言う通りだ。
烏野には力強いスパイカーも、安定したセッターもいる。
だけどレシーブの総合力はとてもじゃないけど高いとは言えない。
それに、レシーブ専門ポジションであるリベロがいない。
…実は最初からずっと気になっていた。人数は揃っているのに、何故リベロが一人もいないんだろう。