第1章 *Encounter。
2セット目が始まって暫く経ったけど、どう見ても雪ヶ丘と北川第一には圧倒的な差があった。
レシーブは形になっていないし、得点だって偶然入ったようなものだ。
―なんて、その時の私は思っていた。
「翔ちゃん!」
「何、あの1番……!」
私が目にしたもの。それは…
まるで空を飛んでいるかのように跳ぶ男の子。
ドドッ
その子のスパイクは見事に止められた。
けど……………すごい。
特別上手なわけではないし、きっと素人だろう。
だけど、ただひたすらにまっすぐボールを追いかける。
いつの間にか私は"コート上の王様"ではなく、その子に目を奪われていた。