第1章 *Encounter。
試合開始の笛と同時に、私の近くに男の人がやってきた。
「おー、元気なの居るな」
割と背の高い3人の男の人……高校生だろうか。
真っ黒なジャージを着て、コートをまじまじと眺めている。
何処の高校だろう。
興味本位で、なるべく自然にその男の人の背中に目を向ける。
「かっ…!?」
その背中にはまさかの"烏野高校 排球部"の文字。
(あっぶな…声に出しちゃうとこだ……ッ!?)
「…?」
安心している場合ではない。
3人の中の1人、坊主頭の怖そうな人に不審がられている。
…よし。何もなかったフリをしようそうしよう。
そう決意して冷や汗をかきながらコートを眺め知らんぷりをしていると、坊主頭の人は私から目を逸らした。
「…でも 何で中坊の試合なんか…」
特に気にしてはいないみたいだ。
ホッと胸を撫で下ろして、もう一度男の人に目を向ける。
こんなところであの烏野高校の生徒に出会えるとは。
ピピーッ
……なんて、その真っ黒な背中についつい見惚れてる間に、いつの間にか1セット目終了の笛が鳴っていた。