第2章 *Reencounter。
時は流れ、金曜日の放課後。
私には1つの楽しみができていた。
あれは確か、水曜日。
放課後にたまたま軽い校内散歩をしていたら、バレーをする2人の姿を見つけた。
その2人とは勿論、"コート上の王様"と日向くん。
この2人を見つけてからは、少し離れた所でイヤホンをして、何も考えず音楽を聴くフリをしながらずっと2人のプレーを眺めている。
それがもう、私の楽しみとなっていた。
何故室外でバレーをしているのか……色々と気になることはあるけど、こうしてまた2人のバレーが見れるなら理由なんてなんだっていい。
練習をしている2人に少しの間背を向け、いつも通り耳にイヤホンをして、ポケットの中にあるスマホに手を伸ばした。
と、その時。
「あぶないっ!!!」
その声に驚いて振り返ると、すぐ目の前にバレーボールが迫って来た。
「っ!」
…体が、動いた。我ながら素晴らしい反射神経だ。
咄嗟にレシーブしたボールはそのまま真上に上がり、ストンと私の手元に綺麗に落ちて来た。
「…どうぞ」
先程の声の主…日向くんが此方へ走って来たから、精一杯の笑顔でボールを差し出す。
…多分、少し…いや、かなりニヤけてたと思うけど、ずっと会いたかった人を目の前にして思わず頬が緩んでしまうのは仕方がないことでしょ。