第2章 *Reencounter。
「貴方…もしかして元北川第一のセッターさん、ですか!?」
そう、私が追い求めた、あの―…!
「…」
あれ、何か…すごく……睨まれてる、ような……
「……誰」
「へ?」
「誰?……ですか」
そりゃそうだ。こっちから名乗るのが筋だよね。
「え、っと……!1年4組の谷口綾乃です!私、去年の貴方の試合観てました!それで……っ」
駄目だ。パニックすぎて言葉が出てこない。
自分でも何言ってるか分かんない。落ち着け私…!
「日向はさ」
「!?」
……続きを話そうとした私の言葉を、誰かの声が遮った。
"コート上の王様"が声のした方に目を向ける。
それにつられるように、私も視線を動かした。
「あ…!」
そこに居たのは、もう1人の会いたかった人。
オレンジ色のくるくる跳ねた髪、小柄でくりっとした大きい目の、雪ヶ丘中のあの子。
と、もう1人向かいにいかにも爽やかそうな男の人。
バレーボールを持ってるってことは…バレー部だよね。
日向って、あの子の名前かな。
「おれ、もう負けたくないです。」
2人の会話はよく聞こえなかったけど、そう言った日向くんの声はしっかりと聞こえた。
「…」
その言葉を聞いたのであろう"コート上の王様"は、眉間にシワを寄せて教室へと戻ってしまった。
「行っちゃった……せめて名前だけでも聞きたかったなー……」
その背中を眺めながらぐんぐん牛乳を一気に飲み干すと、私も教室へ走って戻った。