第2章 *Reencounter。
「かっ…」
(か?)
「かっこいいィィィィィ!!!!」
(…え!?)
ずっと黙り込んでいた日向くんが急に発した大きな声のその言葉を、私は暫く理解できなくてポカンと立ち竦んでいた。
「ねえっ、名前なんていうの?あ、おれは日向翔陽!1年1組!よろしくっ!」
「1年4組、谷口綾乃です。
よ、よろしく…!」
大きな目をキラキラと輝かせてずいっと身を乗り出してくる日向くん。
このコミュニケーション能力の高さは何なんだろうか…羨ましい。
そう思うと同時に、"日向翔陽"という名前はまさに彼にピッタリだとも思った。
「コイツは影山!」
日向くんの後ろには、いつの間に此方に来たのだろうか、"コート上の王様"が立っていた。
「1年3組、影山飛雄…っス」
かげやまとびお。
それが、"コート上の王様"の名前。
私が知りたがってた名前…。
「影山くん、よろしく!」
ただ名前が聞けただけなのに、何でこんなに嬉しいんだろう。
きっと今の私の顔は嬉しさと興奮のあまり頬が緩みきってしまってるだろう。
自分なりに自然な感じを意識しながら笑顔を見せると、影山くんは「…しゃス」と小さく呟いて頭を軽く下げた。
自動販売機前で会った時には、目つきが悪くて少し怖い人なのかなとも思ったけどそんなことはないみたい。