黒執事 Christmas at midnight
第3章 後篇 聖なる時の選択を
「では……折角ですのね、私直々に皆様のお相手を」
「セバスチャンってカードゲーム強いんじゃなかったかしら? 大丈夫なのそれ、勝負になる?」
「……アリスに煽られたんじゃ、黙っている訳にはいかないな! 田中さん、頑張ろうぜっ」
「私達も負けないですだ!!」
「おいお前達、勝つのはこの僕に決まってるだろう?」
「勝つのは私よ、伯爵」
「臨むところだ、アリス嬢」
いつの間にかシエルとアリスの間には、火花が散っていた。
そんな二人を勝利に導くために、セバスチャンとクライヴも視線を合わせ火花を散らしていた。
「なんかよくわかんねぇが……こいつら、怖すぎだろ」
「ほっほっほっ」
田中さんはまったりとお茶を飲んでいた。
何度目かの繰り返される駆け引き、引く引かない勝負すべきタイミング。予想通りといえば予想通りだが、結局残ったペアはシエルとアリスの二つだけ。その他のペアはあっさりと二人に倒されてしまいそれぞれセバスチャンの指示で仕事に戻り始めた。
バルド達は主に厨房の片付けを。
こたつを間に挟んで、シエルとアリスは睨み合う。
「さあ、次はアリスの番だぞ」
「ふふ……このブラックジャックの女王と呼ばれた私に、貴方が敵うと思っているのかしら?」
そっとアリスは一枚カードを捲ろうと手を伸ばした。しかし、アリスの手の上からセバスチャンの手がやってくる。
「お待ちください、アリス様」
「セバスチャン……?」
「此処は僭越ながら、私にカードを引かせては頂けないでしょうか? 必ずや貴女を勝利へと導いてご覧に入れます」
「……いいわ。任せる」
アリスは手を引いた。セバスチャンがカードに手を伸ばす、不意にセバスチャンがシエルへと視線を向けると至って表情を変えない彼がそこにいる。