黒執事 Christmas at midnight
第3章 後篇 聖なる時の選択を
「これじゃあ、埒があかないな……ここは公平に勝負で決めないか?」
不意にシエルが提案を始める。懐からトランプを取り出すと、得意げに話し始める。
「まずペアを組もう。このトランプを使って、ブラックジャックでもどうだ?」
「ブラックジャックを提案してくるなんて……シエル、わかってるじゃないの!」
「ということは、アリス様はご参加されるのですね?」
そうセバスチャンが問うと「勿論」と笑顔で返って来た。
ブラックジャックとは、トランプを使用するゲームの一種でカジノでもポーカーと並んで人気のカードゲームだ。ルールは至ってシンプル。カードの合計が"二十一点"を超えない様に、プレイヤーがディーラーより高い点数を得ることを目指すというもの。
「さて、ペアはどう決めますか? 坊ちゃん」
「くじを作るのは面倒だ。僕が決める、異論は認めない」
「あんまり偏ったペアにしてあげなさんなよ?」
アリスはトランプを手にして、手際よくきり始める。
「此処は勿論、私は姫様と同じペアで……!」
「クライヴ、お前は僕とだ」
「え……?」
「アリスはセバスチャンと、そうだな……フィニとメイリン、最後はバルドと田中」
「よし、セバスチャン! 狙うは勿論一位よ!!」
「かしこまりました、アリス様」
「シエル様!? どうして姫様の執事である私が、わざわざ引き離される羽目に!?」
「お前はアリスに嫌な入れ知恵をしかねないからな……」
「そ、そんな……」
クライヴは一人肩を落とした。
そんな彼を置き去りに、どのペアも熱い闘志を燃やし始めていた。