黒執事 Christmas at midnight
第3章 後篇 聖なる時の選択を
「田中! これ凄いじゃないの! 一体遠い東のどこの国のものよ!」
「確か、日本という国のものです」
「ジャパニーズ暖炉!!」
「アリス様……それは少し違うと思います」
セバスチャンのツッコミを無視しながら、アリスは嬉しそうに含み笑いを浮かべていた。
「なら私は今日、ここで本を読むとするわ」
「待て、アリス」
いきなり和室の扉が開いたかと思えば、そこに立っていたのはシエルと使用人達だった。
「シエル! 仕事はどうしたのよ!?」
「クライヴが今最終チェックをしてくれているから、もう終わったも同然だ。で? 話は聞かせてもらったぞ。僕の部屋の暖炉も、薪がもうなくてね……丁度冷たくなってきたところだ。混ぜろ」
「ちょっと!」
シエルは遠慮なくこたつの中へと入る。やはり暖かいのか、シエルは緩んだ顔を見せながらくつろぎ始めていた。
「あっ、坊ちゃんずるいですだ!」
「俺も俺も!」
「ええ!? ぼ、僕も混ぜて下さいよぉおお」
メイリン、バルド、フィニもこたつへと入っていく。しかし……こたつの定員はどうやら四人までらしい。かなり狭くなり始めて、こたつの中で足の蹴り合いが始まる。
「ちょっと! 誰よ私の足を蹴った奴!!」
「ああ、すまん。僕だ」
「シエルッ!!?」
「い、痛いですだアリスお嬢様!」
「わり、それ俺だわメイリン」
「バルド! もっと詰めてよっ」
「まったく、貴方達ときたら……」
セバスチャンは揉め始めているアリス達を眺めながら、大きく溜息をついた。