黒執事 Christmas at midnight
第3章 後篇 聖なる時の選択を
「おう、ありましたぞ」
「これは……」
四角いテーブルに、もこもこの掛布団のようなものが置いてあるのが薄らと見える。しかしセバスチャンにはまったく見たこともない代物であるため、ただ首を傾げていた。
「ずっと東の方から伝わる伝統的暖房器具。"こたつ"です」
「「こたつ……?」」
セバスチャンとアリスは思わず声を合わせて、その名を口にする。しかし、二人共どちらもまったく聞いたことがないらしく難しい顔をして四角いテーブルを見つめていた。
「こたつって何? この四角いテーブルと掛布団で何を暖まるというの?」
「とりあえずこれを運びましょう。そこから、使い方をお教えしますよ」
ほっほっほっと笑いながら、田中はセバスチャンにこたつを運ばせていた。
地下から引っ張り出したこたつは、空き部屋の和室へと運ばれた。テーブルと掛布団を綺麗にセットし、田中自らがコンセントを入れる。
「アリス様、どうぞこのこたつの中へ入ってみて下さい」
「いいけど……」
仕方なく座布団を引っ張ってきて、こたつの中へと入ってみる。じっとしていると、だんだん足元から暖かくなるのを感じてアリスは目を丸くした。
「あら? 足元から暖かくなってきたんだけど……」
「はい。暖かくなる機能がこのこたつにはつけられておりまして、コンセントを入れるとつくようになっております。こちらのリモコンで熱さの調整も出来ますよ」
「このこたつにそんな有能な機能があるの!?」
熱さを調整!? そんなリモコン一つで!? と驚きながら、アリスは恐る恐るリモコンを操作する。すると、足元の暖かみが弱まったり強まったりするのを感じで目をキラキラさせ始める。